「センスがよい人」と聞くと、何となく、華やかなファッションや独自の感性で注目を集める人を思い浮かべる方も多いかもしれません。しかし、「センス」とは本当にそういうものなのでしょうか?
松浦弥太郎著『センス入門』は、「センスとは何か?」という問いに対して著者ならではの視点で切り込み、センスを磨くための道しるべを示してくれる一冊です。
センスとは選び、判断する力
本書で言うセンスとは、単に「流行に敏感」や「独自の感性を持っている」といったものではありません。
「センスとはなにか?」著者はそれを『「何を選ぶか」「どう判断するか」という能力』だと定義しています。それは正しい情報や知識、鋭い観察によって、主体的に選び、判断する力です。
ただしそれは、自己中心的に生きることを指すわけではありません。むしろ、周りに対して心を開くことがセンスを磨くための第一歩であると説いています。
例えば、センスがよい人には以下のような共通する姿勢があると指摘しています。
1.情報でないものに振り回されない
センスのよい人は、他人の噂話や聞きかじっただけのものには振り回されません。自分の体験や感動が含まれないためです。センスのよい人にとっては、自分の体験や感動から生まれるもののみが本当の「情報」なのです。
2.心を開いてまわりのことを素直に受け入れる
センスを重要視するがあまり、自分と異なる意見や考えを否定する方がいます。しかし、それでは自分の枠を自ら狭めてしまうことになりかねません。「わからないことは知っていそうな人に聞く」「「これだ!」と思ったものは徹底的に真似してみる」など、知らないことを素直に認め、学棒とする態度が大切です。
本書にはこのような姿勢の下で、自分のセンスと向き合い、磨いていくための具体的なアイデアが詰め込稀ています。
あなたは社会の中で生きている
センスとは自分の内面的な世界から生まれるものです。しかしそれは、自分の世界に閉じこもることを是とするものではありません。人は誰もが社会の中で、他の人と関わりあいながら生きています。
本書では、社会の一員として生きる者としての意識を持つことが必要であると指摘しています。しかしそれは決して特殊なことではありません。「健康や清潔感を保ち、不快に思われないようにする」「他人にされて嫌ことはしない」など、「社会でより良く生きるため」に必要なマナーとも言えるものです。
まとめ
センスとは、自分が実際に見たり体験したりする中で磨かれていくものです。本書には、そんなセンスを磨くための具体的なアイデアが詰まっています。本書を読むことで、あなたの「見る目」や「感じる力」を磨くための具体的な道しるべが得られることでしょう。
気になった方は、ぜひ本書に触れてみてください。
書籍情報
書籍名:『センス入門』
著者:松浦 弥太郎
出版社:筑摩書房
発売日:2013/02/01