【書評】世界一の豪華寝台列車となるまでの物語『ななつ星への道』

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皆さんは「ななつ星」をご存知でしょうか?

「ななつ星」はJR九州が運行する、日本初のクルーズトレイン(豪華寝台列車)です。米旅行誌「コンデナスト・トラベラー」が実施する読者投票で3年連続で1位に輝いているという、まさに世界一の豪華寝台列車。最低料金がなんと65万円1という高額であるにも関わらず、その予約は極めて困難という人気ぶりです。

そんな「ななつ星」を作り上げた軌跡を描いたのが、唐池恒二著『ななつ星への道』です。

「ななつ星」が生まれるまでの軌跡

本書では、「ななつ星」の企画から実現までの軌跡が、著者でありプロジェクトの中心人物である唐池氏自身の視点で詳細に語られています。「豪華寝台列車」という斬新なアイデアは多くの反対意見や課題にも直面しました。しかし、信念を持ち、共感する仲間とともに一歩ずつ実現に近づけたのです。

本書では、「豪華寝台列車を作る」という夢が、具体的なプロジェクトへと進化し、実現される過程が描かれています。需要の有無、設備や技術の問題など、前例のない挑戦に立ちはだかる数々の壁。それらをどう乗り越え、どのように「ななつ星」というブランドが形作られていったのか。

本書を読み進めることで「ななつ星」に込められたこだわりを知り、「いつか自分も「ななつ星」に乗ってみたい!」という気持ちになっていくことでしょう。

「ななつ星」のブランディング

「ななつ星」の成功は、徹底したブランディングに支えられています。特に印象的なのは、「実際に様々な場所やサービスを体験し、その良さを取り入れている」「その道のプロを積極的に招き入れ、自分たちに不足しているものを補う」という姿勢です。

モノの良さを知るには、実際に体験してみることが一番です。また、経験のないものはその道のプロに力を借りるのが近道です。基本的なことですがどうしても手間やお金がかかるため、ついつい「今あるもの」だけでなんとかしようと考えてしまう。そんなことはないでしょうか?

実際に様々な体験をしたりその道のプロに学び、そこから得たものを活かす。よいものを作り上げるためには、その手間を惜しまないことが重要であることを教えてくれます。

まとめ

『ななつ星への道』は、豪華列車の裏側にある熱意と挑戦の物語です。人々の心を動かすブランディング例の一冊として、旅行好きの心をくすぐる一冊として、さまざまな角度から楽しめる作品です。

「ななつ星」が生まれるまでの物語とブランディングについて書かれた一冊です。乗客の目線から数々のこだわりを感じたり、企画者の目線からブランディングの実例として学びを得たり、色んな読み方のできる一冊だと思います。

ぜひ、本書を一度手にとってみてください。

書籍情報

書籍名:『ななつ星への道 Stairway to Seven Stars』
著者:唐池 恒二
出版社:PHP研究所
発売日:2024/11/06

  1. 2024年4月~8月出発分の料金表より。 ↩︎