【書評】自分の頭で考える力『知的複眼思考法』

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あなたはニュースやSNSで流れている情報を無意識に「正しい」と受け取いれていないでしょうか?ものごとすべて正しい答えがあるものと信じ込んではいないでしょうか?

苅谷 剛彦著『知的複眼思考法』では、こうした人の意見や情報を無意識に鵜呑みにしてしまうことに警鐘を鳴らしています。本書では、ものごとを自分なりにとらえなおし、自分の頭で考える力を養う方法を丁寧に解説しています。

単眼思考と知的複眼思考

ステレオタイプ(決まりきったものの見かた)に囚われ、ものごとの一面だけに目を向けるものの見方・考え方を、本書では「単眼思考」と呼んでいます。「単眼思考」は自分の頭で考える必要がない反面、世間の発する情報に依存し、簡単に流されてしまうというリスクがあります。

「単眼思考」に対して提唱されているのが、本書の「知的複眼思考」です。この思考法は、ものごとを複数の視点からとらえ直し、自分自身の視点かを構築する能力を指しています。

知的複眼思考を身につける4つのステップ

本書では全体を通して、「知的複眼思考」を養うための具体的なステップが詳細に解説されています。

1.本を批判的に読むことで、自分の頭で考える力を養う

本は読み手が自分のペースで読んだり考えたりすることができる格好のメディアです。本に書かれている内容をそのまま受け入れるのではなく、著者と対等な立場から思考を追体験する(批判的に読む)ことで、考える力が養われます。

2.文章を書くことで、複数の視点からものごとをとらえる力を養う

自分の思考や論理を厳密にするには、書くことがとても有効です。書くことを通して、批判に対する自分の思考を整理しつつ、様々な立場に立って反論や代案を考える力を養います。

3.問いの立て方と展開の仕方を学び、自分の視点を持つ

「疑問」と「問い」の違いは、「疑問」が感じるだけで終わるものであるのに対し、「問い」は答えを探し出すこととセットになっているという点です。「疑問」を「問い」へと発展させ、「問い」をどのように展開して解へと導くか。本書ではその方法を解説しています。

4.様々な視点の持ち方を学び、複眼的思考を身につける

「知的複眼的思考」を身につけるには、「問い」をストレートに展開するだけでなく、様々の視点から展開することが必要です。多面性や逆説、メタなど、様々な視点の持ち方を学ぶことで、考える力を「知的複眼思考」へと昇華していきます。

専門性と「問い」との関係

国分峰樹著『替えがきかない人材になるための専門性の身につけ方』では、専門性は「自分らしい問いを立てる」ことから始まると説かれてます。本書は、この「問い」の具体的な立て方や、多面的に展開する方法を深く解説しています。

もしも「どう問いを立てればいいかわからない」と悩んだことがあるなら、本書はあなたにとって解決の道筋となるはずです。

『替えがきかない人材になるための専門性の身につけ方』についてはこちらのページをご覧ください。

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まとめ

『知的複眼思考法』は、一度読めばすぐに結果が出る魔法の本ではありません。読者自身が実践を通して考え抜くことが必要です。しかし、本書の思考法を身につけることで、世間の情報に振り回されることなく、自分の頭でものごとを判断できるようになるでしょう。

情報社会で生きる私たちにとって、情報を鵜呑みにせず、自分の頭で考えるスキルは必須です。是非本書を手に取り、その第一歩を踏み出してみてください。

書籍情報

書籍名:『知的複眼思考法 誰でも持っている創造力のスイッチ』
著者:苅谷 剛彦
出版社:講談社
発売日:2002/05/20