- 色んな思考法を勉強したけれど、いまひとつ効果を感じられない
- 天才と呼ばれる人と、自分たちとでは何が違うのだろう?
そんなことを考えたことはないでしょうか?それは実は、思考以前に問題があるのかもしれません。
神田房枝著『知覚力を磨く』は、思考する前の段階である「知覚」に焦点をあて、知覚力を高めるための具体的な方法を教えてくれる一冊です。
知覚とは何か
著者は、「知覚」を『自分を取り巻く世界の情報を、既存の知識と統合しながら解釈すること』と定義し、思考の前に行われるものであると説明しています。私たちは日々膨大な情報を目にしていますが、それをどう受け止めて解釈するかがその後の思考やアクションに大きく影響するのです。
世の中には「ロジカル思考」「クリティカル思考」など思考法の本が沢山出ていますが、そもそも物事を正しく「知覚」することができなければ、いくら思考法を身につけてもその力を発揮できません。本書はそんな状況に警鐘を鳴らし、知覚する力を磨くことがいかに重要であるかを説いています。
知覚力を磨くには絵画鑑賞が効果的
現代では技術の発達により、私たちの脳は「目的とする情報を素早く探す」という見方に慣れきっています。そのため、自分ではよく見ているつもりでも、実際には見えていないものが非常に多いのです。
では、どうすれば正しく「見る」ことが可能になるのか?本書では、『純粋に見る』ことが重要であると説いています。これは、何か探すために見るのではなく、特定の目的を持たずにありのまま理解するということ。この『純粋に見る』力を磨くのに効果的なのが、絵画鑑賞なのです。
知覚力を磨く具体的な技術が紹介されている
絵画など美術鑑賞に美意識や創造性を鍛える効果があるというのは、ご存知の方も多いと思います。しかし、「結局どのように見ればよいのか?」という点はよくわからない、ということも多いのではないでしょうか?
本書の秀逸な点の一つは、『純粋に見る』ための具体的な方法を技術として落とし込み、丁寧に説明していることです。また、その技術は実際にどう使うのかも具体例を交えて解説しており、『純粋に見る』力を活用するイメージを具体的につかむことができる内容となっております。
知覚力を磨きたい方だけでなく、単に絵画鑑賞に尻込みしていた方にとっても、本書は一歩を踏み出すきっかけになると思います。
まとめ
「目的とする情報を探す」ことに慣れきった脳を変えるためには、意識的に『純粋に見る』事が必要です。『知覚力を磨く』の技術に習熟することで、世界をより広く純粋に感じ取れるようになることでしょう。
「純粋に見る」ことを通じて自分の世界を広げたい方は、ぜひ本書を手に取ってみてください。
書籍情報
書籍名:『知覚力を磨く 絵画を観察するように世界を見る技法』
著者:神田 房枝
出版社:ダイヤモンド社
発売日:2020/10/21