【書評】合戦の理想と現実『「合戦」の日本史』

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大将が先頭に立って敵をなぎ倒し、軍師が巧みに陣形を操って不利な状況を逆転させる――歴史を題材にした漫画やアニメで目にするシーンの一つです。こうした物語の中の合戦シーンは心を奮い立たせますが、「現実でも本当にこんなことがあったのだろうか?」と疑問に思ったことはありませんか?

そんな疑問に答えてくれるのが本書、本郷 和人氏著『「合戦」の日本史』です。

戦場に立つのは結局「人」である

本書が私たちに教えてくれるのは、戦場で命を懸けたのは決して架空のキャラクターではなく、血の通った「人」であるということです。

漫画やアニメでは、合戦に登場する兵士たちはまるでモブやNPCのように描かれることが多いですが、実際には一人ひとりが生身の人間です。刀を手にしていざ人の命を奪わなければならないとなったとき、どれほどの緊張や恐怖を感じていたのでしょうか?

皆が生身の人間であるという、ある意味あたり前の前提に立って本書を読み進めることで、理想と現実のギャップが見えてきます。

何のために戦い、何をもって勝ちとするのか?

何のために城を攻めるのか――漫画やアニメだと天下をとるためというのが多いでしょう。
戦の勝敗とはいつ決まるのか――漫画やアニメだと大将首をとったとき等が多いでしょう。

しかし実際の武将たちは何を目的として戦い、勝敗を決めていたのか。――本書ではそういった疑問に答えながら、物語とは異なる、リアルな合戦の目的や勝敗の条件が解説されています。

まとめ

合戦の理想と現実の違いを知ることで、これまで漫画やアニメの中で描かれていた「理想の合戦」も、また新たな視点で楽しめるようになるでしょう。そんな新しい視点を得るためにも、ぜひ一度この本を手にとって、合戦の理想と現実に迫ってみませんか?

書籍情報

書籍名:『「合戦」の日本史-城攻め、奇襲、兵站、陣形のリアル』
著者:本郷 和人
出版社:中央公論新社
発売日:2022/03/09