未来に対する漠然とした不安、ありませんか?
- この先、社会はどんなふうに変わっていくんだろう?
- 自分でも少しでも未来を予測できるようになりたい
そんな思いを抱えているなら、堺屋太一著『知価革命』は、あなたに新たな視点を与えてくれます。この一冊には、未来を読むためのエッセンスが凝縮されています。
次に来る時代を、どう読み解くか
本書が書かれたのは、1980年代。驚くことに、当時の「工業社会」を背景に「次に来る時代はどのようなものになるか?」という問いを掘り下げ、現代の知識経済や情報社会を見据えた鋭い洞察が詰め込まれています。
予測のカギとなるのが「人間の「やさしい情知」という側面」と「歴史(我々が生まれ育ってきた社会とは異なる社会規範を持った社会、主要な文明変化を生み出した諸要因)」。これらが、私たちの行動様式や社会の変遷をどう導いていくのかを示してくれるのです。
「やさしい情知」とは、堺屋氏が立てた仮説で、「人間は「豊富なものをたくさん使うことが格好良い」と感じ、「足りないものは節約するのが正しい」と信じて環境に順応する」とするもの。これにより、人間は社会的な制約や環境の変化に柔軟に適応しながら、次の時代に向けて進んでいくとしています。
驚きなのがその正確性。現代を生きる私達の社会の姿がありありと予測されており、「ここまで正確な未来予測が可能なのか」と驚愕させられました。
本書からあなたが得られること
- 予測のカギ、人間の「やさしい情知」とはなにか
- 「やさしい情知」から見て、歴史上の各文明(社会)はどのようなものであったか
- 社会の特色や変化を読み解くための要素とはなにか
印象に残った言葉
人間は、一方においては不足なものを増やしてボトルネックを突破しようとして、技術を開発して代替物を造り出したり、資源を求めて探検をする「雄々しい英知」を備えているが、その半面には、常に「豊富なものをたくさん使うことが格好良い」と感じ、「足りないものは節約するのが正しい」と信じて環境に順応する「やさしい情知」ももっている。(P.32)
この「やさしい情知」は、本書を読み解くうえで最も重要なキーワードの一つです。このキーワードは、「どうすれば未来の変化に柔軟に適応できるのか」という問いの答えが、私たちの根源的な側面にこそあるのだと気づかせてくれます。この視点を持つことで、今後の社会の変化にも柔軟に対応しやすくなるはずです。
「歴史の父」ドゥキディデスが、いみじくもいったように、「これからの歴史も、人間性のおもむくところ、これまでのそれのように、異なる条件のもとで相似た展開をする」とすれば、過去の相似た自体は、未来の方向を探る道しるべとなるはずである。(P.144)
時代が変わっても、そこに生きる人間の本質は変わらない。過去を知ることは、未来を予測するための大切な道しるべなのです。この一節は、過去の歴史や変革を学ぶことの大切さを教えてくれます。
まとめ
本書で得られるものはただの知識ではなく、時代を超えて通じる普遍的な「ものの考え方」です。発売から数十年が経った今でもその考え方は色あせず、あなたに新しい発見をもたらしてくれることでしょう。ぜひ一度、手に取ってみてください。
書籍情報
書籍名:知価革命
著者:堺屋太一
発売日:1985年12月
出版社:PHP研究所