【書評】制約があるから生まれる発想『ファミコンの驚くべき発想力』

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ファミコン。1980年代に登場し、家庭用ゲーム機の歴史を塗り替えた家庭用ゲーム機。

その存在に秘められた、様々な創意工夫を余すことなく伝える一冊が、松浦 健一郎/司 ゆき著『ファミコンの驚くべき発想力』です。この本は、懐かしいゲーム機の裏側にある「発想力」に触れたい方にぜひ読んでいただきたい一冊です。

価格と実用性を両立するファミコンの創意工夫

この本は、ファミコンが価格を抑えつつ「楽しいゲーム体験」を作り出すために、どのように設計されたかという技術的な背景について解き明かします。

ファミコンは「誰にでも手が届く価格」で「家庭で楽しめるゲーム機」提供できるようにするため、徹底した機能や性能の絞り込みが行われました。しかし、その少ない資源の中でも実用的なゲーム機を実現するために様々な創意工夫が行われたからこそ、ファミコンソフトの開発者たちは性能面の限界を埋めるアイデアを生み出せたのです。

制約の中でこそ生まれるアイデア

ファミコンソフトの容量はわずか40KB(キロバイト)。画像1枚分もありません。そんな中に「面白さ」を詰め込むために、スーパーマリオやドラゴンクエストといった名作ゲームは様々な工夫が行われました。限られた容量や性能の中でどれほどの工夫が凝らされていたかを知ることで、制約を乗り越える「アイデアの力」に触れることができます。

まとめ

私たちは日々、様々なリソースに囲まれて生活しています。しかし、その中で制限や制約にぶつかると「これじゃあ無理だ」と嘆いてしまうことも多いのではないでしょうか?

ファミコンの開発者たちが示したように、制約もまた新たな創意工夫の起点になり得ます。制約を前に諦めてしまうのではなく、そこからどんな発想が生まれるかを模索することで、思いがけない解決策に出会えるかもしれません。

書籍情報

書籍名:ファミコンの驚くべき発想力 -限界を突破する技術に学べ-
著者:松浦 健一郎/司 ゆき
発売日:2010/10/29
出版社:技術評論社